成績が上がらない子どもの7つの特徴⑥ 親が子どもに、支配に近い管理をしている。

教育熱心な親でそだてられ、元気がない子どもたちがいます。
ほぼ支配にちかい管理で、もし子どもを精神的に追いつめていたら、
もはや教育熱心ではなく“教育虐待”なのです。(中学受験の例)

最近「教育虐待」という言葉が広まっています。
虐待といえば、暴力、暴言、育児放棄のようなイメージが強いと思います。
それらとは関係がないように思える「教育熱心」な親は、一見子ども思いの“いい親”に思われがちですが、もし子どもを精神的に追い詰めているようであれば、それは「虐待」なのです。これは、やっている親もやられている子どもも自覚しにくいという怖さがあります。

僕が中学受験指導をしていた頃の話です。
塾生A君は中学受験の勉強をしている5年生です。両親とも高学歴で教育熱心です。塾には1年生から通っています。母親はとにかく勉強をやらせたがります。
A君が勉強していない時間が一瞬たりとも許せないようで、次々と課題を渡します。例えば1時間(50分)勉強したら、10分の休憩が必要です。この10分が子どもにとってはリラックスできる時間で、そのメリハリがあることで学習効果が上がります

そうアドバイスをしても、母親はまったく聞く耳を持ちません。その10分すら休ませたくないのです。
「ぼーっとしたり、遊んでいる暇があったら、勉強しなさい!」
「成績が上がらないのは、努力が足りないからよ!」
「休むくらいなら、この10分に勉強をして、クラスを2つ上げてほしい!」
この母親は、とにかくたくさん勉強すれば成績が上がると信じこんでいるのです。

そういう親の多くが、「自分は努力をして成功をつかんだ」という成功体験を持っています。高学歴のA君の母親が、勉強量にこだわるのも、自分はたくさん勉強をしてきたから結果を出すことができたと思い込んでいるからです。
しかし、成長過程の小学生の子どもは無理が利きません。夜遅くまで勉強をさせれば、そのダメージは翌日に必ず響きます。教育熱心な親は「間引きをする」という発想がそもそもありません。

子どもは遊びを通して、いろいろなことを学びます。例えば鬼ごっこ。
鬼に捕まらないようにするにはどうしたらいいか? 
鬼になったときは、どうしたら捕まえることができるか?
など、考えて行動します。また、子どもの遊びには喧嘩がつきものです。

幼い時からたくさんのお金を教育に投資してきたのに成績がまったく上がりません。むしろ、下がっていく一方となった時、教育熱心な親はさらに量を増やします。
それでも成績が上がらないので親はイライラします。実は、母親が不機嫌な家の子どもは、成績が伸びにくいのです。小学生の子どもにとって、母親は誰よりも大切な存在です。その母親が自分のことでイライラしていると、子どもはどうしていいのかわからなくなってオロオロしてしまいます。幼い子どもにそうさせてしまうことも「教育虐待」だと思っています。

やることを管理したがる父親の共通点は、やらせる量が多いこと、短い時間設定でいろいろなことをやらせたがること。しかし、子どもは当然その通りにはできないし、無理に終わらせようとすれば、気持ちがあせり雑になります。雑になると計算ミスをします。
すると詰め込み思考の父親は、いよいよ暴走します。計算のスピードを上げさせて、見直しの時間を作ろうとするのです。これはビジネスの発想で、小学生の子どもに求めるものではありません。

スケジュールに無理を感じたら、そのたびに子どもと話し合って修正します。子どもがもしスケジュール通りに学習ができたとしても決して当たり前と思わず、その頑張った努力を認めてあげてほしいのです。

ちょっと私、やらせすぎているかもしれないな、さっききついことを言ってしまったな、と気づいたら、そのたびに子どもに謝り、親である自分の未熟さも認めてほしいのです。そして、どんな小さなことでも子どもが頑張っている姿があれば、その努力を認め、ねぎらいの言葉や励ましの言葉をかけてほしいのです。
中学受験はわが子をつぶすためにあるのではなく、わが子の可能性を伸ばすためにあるのですから。

次回は、このシリーズ最後の⑦家庭のしつけが厳し過ぎる。(自己肯定感が得られず、能力が開花しない)です。

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